キャロウェイのドライバースリーブはライ角が何度アップライトに変わるか?
キャロウェイのドライバースリーブでライ角は何度変わるか?
広島市安佐北区のゴルフ工房 スルーザグリーンです。
お客様からのお問い合わせで、調べてもハッキリしなかったので実際に測定してみました。
ライ角の調整による効果
今回注目するライ角の調整は、ショットの方向性に大きな影響を与えます。
標準のライ角設定は、キャロウェイの想定する一般的なスイングスタイルに適した設定になっています。
- スライスが多いゴルファーはライ角をアップライトに調整することで、フェースの向きが修正され、スライスが軽減されます。
- フックが多いゴルファーは、ライ角をフラットに調整することで、フェースがよりオープンな状態になり、フックを抑えることができます。
つまり、ライ角の調整は、ゴルファーのスイング特性やミスショットの傾向に応じて、最適な設定を見つけるための非常に有効な要素と言えます。
キャロウェイのドライバー可変スリーブについて
まずは、キャロウェイの可変スリーブについてです。
リングを回転させることにより、ライ角とロフト角を独立して調整することが出来る可変スリーブがついています。
- ロフト角の設定
“-1”標準設定のロフトから1度ロフトが少なくなる事を示します
“S”標準設定のロフトである事を示します。(クラブヘッドに記載してあるロフト)
“+1”標準設定のロフトから1度ロフトが多くなる事を示します
“+2”標準設定のロフトから2度ロフトが多くなる事を示します
- ライ角の設定
“N”標準ライ角である事を示します
“D”アップライトである事を示します
特徴として、2つのリングを使用して調整するため、シャフトを回転させる事なく調整が可能です。
このシステムにより、ゴルファーは自分のスイングスタイルやプレーするコースなどの状況に合わせて、クラブの設定を変更することが出来るという大変便利な機能。
FWやUTとのスリーブの互換性
ちなみに、フェアウェイウッドとユーティリティとは互換性がありません。
ミニドライバーとは互換性があります。
スリーブ調整でライ角は何度変わる?
本題に入ります。
「キャロウェイのスリーブ(アジャスタブルホーゼル)をNS(ニュートラル・スタンダード)からDS(ドロー・スタンダード)に調整したら、ライ角は何度アップライトに変わるか?」
キャロウェイのHPによると
あなたに最適な弾道の高さ(ロフト角)と打ち出し角(ライ角)を調整することが可能になります。
- ロフト角調整機能
- 表示されているロフト角から、-1°~+2°までの調整が可能。
- ライ角調整機能
- 2種類(D=つかまる、N=つかまりを抑える)のライ角調整が可能。
ロフトは調整幅は記載されていますが、、、
ライ角については「調整が可能」とだけ書かれています。
実際に測定してみよう。
はい。
データが無くて、実物が手元にあるので測定してみます。
実際には過去に何度か測定して、ある程度は知っていますが記録していませんでしたので改めて。
基本的にウッド類はソールライ角で測定していますが、
今回は、見て分かりやすくするため、フェースセンターのスコアラインを基準にします。
ライ角を調整すると、フェースセンターのスコアラインが、↑このぐらい変化します。
(「DS」から「NS」へポジションを戻した際に撮影)
実測値は?
先ほども書きましたが、今回分かりやすくするため、フェースのスコアラインで角度を測定。
※キャロウェイのメーカー公表値ではありません。
ポジションNS ライ角59.4° (フェースセンターのスコアラインのライ角)
ポジションDS ライ角61.5° (フェースセンターのスコアラインのライ角)
比較します。
- ポジションNS ライ角59.4°
- ポジションDS ライ角61.5°
ライ角の変化量は2.1°でした。
- ライ角のみを調整した場合は約2°変化します。
- ロフト角とライ角を同時に調整した場合は、約1°の変化になるようです。
繰り返しますが、ライ角は今回分かりやすくするため、フェースのスコアラインで測定数値になります。
一般的なソールセンターではありません。
そして、キャロウェイの公表値でもありませんので、参考程度に。
重心距離はどうなる?
フェースのテープに書かれている「+」は、フェース面上の重心点です。
- ポジションNS ライ角59.4° 重心距離38.7mm
- ポジションDS ライ角61.5° 重心距離42.1mm
アップライトにしたら、重心距離は長くなる。
手元には近付く(グリップエンドから重心までの距離)ので、クラブ全体の抵抗値は下がります。
バランス(スイングウェイト)も下がります。
ライ角だけ変わって、他は変化しないような気がしますが、色々変わります。
実例は次の項で。
他のスペックはどうなる?
グリップ側から見て、重心の位置が変化するので他のスペックも変化します。。
- ポジションNS:ライ角59.4° / 重心距離38.7mm / スイングウェイトD2.2 / 振動数259cpm / 振り抵抗値287.3
- ポジションDS:ライ角61.5°/ 重心距離42.1mm / スイングウェイトD1.8 / 振動数260cpm / 振り抵抗値286.6
「NS」→「DS」の調整で
- ライ角:アップライトになる
- 重心距離:長くなる
- スイングウェイト:軽くなる
- 振動数:増える
- 振り抵抗値:減る
- 長さ:短くなる(60度法&グリップエンドから重心までの長さ)
※変化量は今回の測定クラブによるものです。
フェースアングルはどうなる?
気になるフェースアングルの変化量ですが、今回のロフト角9.0°の場合の計算値は
ロフト角9.0° / 90° × ライ角の変化量2° =0.2°
アップライトへの変化ですので、-0.2°(左へ)となります。
※補足ですが、ロフト角度とフェースアングルの変化量が比例しますので、
Pw ロフト角45°の場合は同じように2°アップライトにした場合は、フェースアングルは-1°(左へ)となります。
ボールのつかまりが不足している原因が、
- フェースアングルにある場合
- 振り抵抗が大きく、振り遅れにある場合
これらについては、つかまりの改善が望めそうです。
反対に
回転系の要素(フェースを大きく開いて、回転させてインパクトに向かう)が多いスイングタイプでは、
その他の変化により、フェースアングルがクローズになる量を相殺してしまい
つかまりが改善されない事も考えられます。
自分のスイングタイプで「つかまりを改善するスペック」は何なのか?
そこをテストや実験を通して把握していると、可変スリーブを有効に使えると思います。
ロフト角も変えれるけど?
スリーブでライ角を変えるだけでも、グリップ側(プレイヤー側)から見ると重心位置に変化が生じます。
同じようにロフト角も調整すると他にも変化が生じます。
ロフト角を
- 10.5度を9.5度に立たせると重心は高くなる。
- 10.5度を11.5度に寝かせると低重心になる。
コチラもライ角と同様に、ヘッド内の重心が移動するのでは無く、グリップ側(プレイヤー側)からの位置が変わるという事です。
この重心位置の変化により、スイングやインパクト時のボールと位置関係に変化が起きます。
結果、つかまり具合やスピン量に影響が出ます。
他にもフェースアングル・フェースプログレッション・重心深度・重心角に変化が生じます。
手元からの距離や位置が変わるということは、ライ角と同様にバランスや振り心地に影響します。
簡単に書くつもりが、複雑になってきましたのでここらで終えます。
マルチスリーブに変えると
色々なヘッドで使用できる「マルチスリーブ」が販売されていますが、
- スリーブのスタンダード状態の角度
- 角度の調整幅
- スリーブ本体の重量
- 付属のネジの重量
これらに変化が生じると、想定した変化以外のスペックに様々な影響が出ることがあります。
迷子にならないように、基準となるスリーブやポジションを決めて、変化を楽しみましょう。
「DS」から「NS」のライ角の結論
「NS」→「DS」の調整でライ角の変化量は約2°。
- 約2°アップライトに変化します。
長さやウェイトなどを変えない場合、2°アップライトになることでボールのつかまりの向上が期待できる。
「OBになるような右方向へのミスが、コースのセンターに!」といった過度の期待はできませんが、
- 手元から重心までの距離が短くなることで振り遅れは多少改善が望める。
- 若干でも確実にフェースアングルが つかまる方向へ変化する。
ウェイト調整と短く持つなどと併用することで、希望の状態へ近付くと言えそうです。
ウェイト調整と合わせたら?関係記事はコチラ↓
繰り返しになりますが、
自分のスイングタイプで「つかまりを改善するスペック」は何なのか?
そこをテストや実験を通して把握していると、可変スリーブを有効に使えると思います。
何かの参考になれば幸いです。
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